平成23年10月15日(土)・16日(日)、華の会外宮神嘗祭奉拝へ、総勢30名の参加者と共に一泊二日の旅
へ出る。
遠く九州からお見えになる方もおられ、年に数回お会いする方々も多く、名前と顔が一致するまでには少し
時間のかかる私でしたが、集合場所の東京駅ホームには明るい声が響きわたり、懐かしい再会に盛り上がっ
ておりました。学ぶ道に同じ心は通じるものだと感じながら、期待を大にして新幹線に乗りこみました。

 名古屋駅に着き外へ出るとあいにくの雨でしたが、バスの中は明るく、どの顔もこれから始まる初体験に
心が弾んでいる様でした。

 伊勢の神宮は、皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)の両正宮を中心として14ヶ所の別宮と、109社を
数える摂社、末社、所菅社からなりたっています。
内宮には、日本国民の総氏神である皇祖天照大御神をお祀り申し上げています。天照大御神は、歴代の天皇
のおそば近くに祀られていましたが、第10代・祟神天皇の御代に初めて皇居をおでましになり、大和の笠縫
邑にお祀りし、第11代・垂仁天皇の御代(約2千年前)に各地をご巡幸の後、大御神の御心にかなった大宮ど
ころとして五十鈴川の川上、現在の地にお鎮まりになった次第です。

 内宮には10ヶ所の別宮が在りますが、別宮とはご正宮の「わけみや」の意味で、ご正宮に次いで尊崇され
るお宮であります。内宮の域内には「荒祭宮」「風日祈宮」が鎮座になり、域外には「月讀宮」をはじめ8宮
がご鎮座されております。
「荒祭宮」は内宮の第一別宮であり、荒御魂とは和御魂のご神霊に対して格別顕著なご神威を発揚されるご
神霊であります。ご正宮に引き続いて祭典が奉仕され、勅使(天皇のお使い)の参向もあります。
「風日祈宮」は風の神様、級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)をお祀り
しています。農業に深い関係のある風と雨の順調をお祈りします。
「月讀宮」は、月讀宮・月讀荒御魂宮・伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮の四宮からなっています。月讀尊は天照大
御神の弟神であり、伊弉諾尊と伊弉冉尊はその母神であります。

 外宮は豊受大御神をお祀りしています。
第21代・雄略天皇の御代(約千五百年前)に、天照大御神のご神慮によって丹波の国(現在の京都府北部)
から、この度会の山田原に迎えられたと伝えられています。
豊受大御神は、天照大御神の召し上がる大御饌(食物)の守護神であり、私たちの暮らしを支える産業の守
り神であります。
外宮には4ヶ所の別宮があり、域内には「多賀宮」「土宮」「風宮」の3宮が在ります。
「多賀宮」は外宮の第一別宮で、ご正宮に引き続いて祭典が奉仕され、祈年祭・神嘗祭・新嘗祭の儀には勅
使が参向されます。
「土宮」は外宮の宮地の地主の神、大土御祖神がお祀りされています。
「風宮」は、内宮の「風日祈宮」の神と同じ神様がお祀りされています。
域外には「月夜見宮」が在り、内宮の「月讀宮」と同じ神様が祀られています。


 宿泊ホテルに午後5時前に着く。
宿の湯に浸かり旅の汗を流し、食事をすませ、いよいよ外宮神嘗祭奉拝へと向かう。
雨は夜になっても止むことはなくシトシトと降り続いていたが、外宮火除橋の前では誰れも弱音を言うこと
もなく、ただただ奉拝の時間が来るのをジッと待っていた。時が迫って来るにしたがい身の引き締まる思い
がした。
やがて正装した衛視の方の指示に従い4人一列となり進む。
漆黒の闇の中、小さなローソクの灯る提灯ひとつだけの明かりを頼りに玉砂利を踏む。ザックザックと一糸
乱れることのない足並みの音だけが響く。私語厳禁、神霊のお集まりになる領域に入り込んでいるのだと厳
粛な気持ちに頭の下がる思いがした。
神嘗祭とは、その年の新穀を天照大御神に奉って感謝を捧げる重要な祭祀である。
待つこと数十分、静寂があたりをつつむ。皆押し黙り冷たく傘を打つ雨の音を聞きながら・・・・。
やがて白装束姿に身をまとい、松明のかがり火に足元を照らされながら玉砂利を踏む音が次第に大きくなり、
現れ来たるその荘厳なるお姿が、かがり火の中に浮かぶ。幻想的、しばし夢の中の人となる。
二千年の悠久の中にもぐりこんだ気がして、神嘗祭の強烈なエキゾチシズムを感じた。
一番感銘を受けたものだった。筆舌に尽くし難しとはこのこと。ただただ儀式の幻想的な神の懐に入りて興
奮した素晴らしい時を過ごした。

 帰りのバスの中にいても現実に戻れず、今体験した不思議な世界に酔い痴れていた。
宿泊ホテルに遅く10時半過ぎに着き、ホテルで反省会(?)。ビール片手に松本先生の部屋に集合。皆興奮
していた。思い思いのグループになり、久しぶりに逢った積もり積もった話に時間の過ぎるのも忘れ語りあ
った。明日の旅の期待と早朝出発のこともあり、後ろ髪引かれる思いでそれぞれの部屋へ解散。

 二日目は昨夜の雨が嘘の様に、サンサンと光り輝く最高のまさしく旅行日和となる。
伊勢参拝は外宮からといいます。宇治橋を渡る時には、内宮は右側を渡り、左側を渡るのは外宮のときとホ
テルで知りました。廊下に飾られてあった額の中に書かれていました。

 心より満喫した、重厚な幻想的かつ厳粛なものでした。
楽しい二日間の日程も滞りなく終了することができましたことは、皆様方のご協力と、松本先生、Sさん、お
二人の緻密な計画より出来たことだと、心からお礼申し上げるものです。
華の会外宮神嘗祭奉拝の旅は、さまざまな思いと覚めやらぬ夢を残し終えることができました。
有り難うございました。
                                                   (川口教室 T・Iさん記)